ambit afire

ファミコン創作歌詞(など)の置き場。ときどき手直し。

試作集


吹き渡る西風 この海の向こうに
君が行く機械の国があるの


大勢の歓声 鳴り響く汽笛に
かき消され 離れた 君の声も


もう二度と会えない? そんなことなさそう
多分また どこかで逢うよ 君と


大地を 技術が 日ごとに狭めていくから



NOTE


創作歌詞。FF6、ティナのテーマのメロディで。メロディはSFC版に準拠。


少し違うバージョン:


大地が 機械で のこらず繋がっていくから


大地が 機械で 毎日 狭(せば)まっていくから


機械で 大地が あまねく繋がっていくから


機械で 大地が いやでも繋がっていくから


大地を 機械が のこさず繋げてしまうから



視点を変えたバージョン:


吹き渡る西風 この海の向こうに
僕が行く機会の国があるよ
 
大勢の歓声 鳴り響く汽笛に
かき消され 離れた 君の声も
 
煤煙と鋼鉄(はがね)で
変わりゆく世界の
ただなかを生きよう
初冬(ふゆ)の世界
 
向こうで
かならず
手紙を
書くから読んでね

(うわ~~)
空き家に妙だな
(なに~~)


(きゃあ~~)
明かりが見えてる
(コワ~~イ)


夏の暑さが消えさり
冬の声する そのころ
館の中に何かいるぞ awoo!


(ちょっと! ねえ
まさか見に行くんだ?)


(あれ~~)
なんだか変だな
(うそ~~)


(やだ~~)
明かりが増えてる
(コワ~~イ)


夏のひかりが途絶えて
冬がはじまる その夜
館の中が騒がしいぞ awoo!


(待ってよね
ひとりにしないで!)



NOTE


創作歌詞。Googleが2018年ハロウィンの出し物にしたゲームであるThe Great Ghoul Duelの屋外ステージで使われるメロディ(YouTube)に乗せて。

Adam, Adam, Adam Smith
Listen what I charge you with!
Didn’t you say
In the class one day
That selfishness was bound to pay?
Of all doctrines that was the Pith,
Wasn’t it, wasn’t it, wasn’t it, Smith?


(Stephen Leacock, Hellements of Hickonomics, 1936)


アダム、アダム、アダム・スミス!
ひとつ聞きたいんですがね!
仰りませんでしたっけ、
ある日、授業で、
利己的なふるまいが《トク》になるって?
それが基本中の基本だってね!
そうでは、そうでは、そうではなかったんですか、スミス!



NOTE


英詩和訳。詩のタイトルは不明。5行目、誤訳でなければ、payは「もうけになる」の意味だけでなく「精算される」「相応に報いられる」、つまり自業自得の意味にもとれることからダブルミーニングによる諧謔なのだろう。アダム・スミスは個々人の私的利益追求が社会全体の富を生むと考えた経済学者である、という通念が土台となる内容か。スティーブン・リーコックはイギリスで生まれカナダに移住した教師・政治学者・作家(Wikipedia)。

『あーあーあー、いーいーいー! いーよ! いーの! ただの! ただのビーズだし! いーよ! いーの!』


ナイトの携える武器は、初期能力では実に短射程なのが印象に残る銃であり、やわらかで迫力のない発射音は、まるで子供の玩具といったふうだ。


爆弾王という華々しい称号とは大きな落差があるが、それゆえにこそヒロイズムの発揮が期されてやまない状況だ。


連発された弾丸は掌大以上はある、揃ったサイズ。仄かに発光しているようであり、どこかプラスチックの半透明ビーズを思わせる気色がある。


それはバリの残った、懐かしいビーズ。


そのビーズが、心にかかる。


『ねっ! いーから! へーきだから! ビーズくらい、へーきなの! だいじょーぶだから!』


ナイトが降下するのは、断崖に取り巻かれてはいても、その感覚としては森のなかの開けのような閑静と安息のあるところ。あるいは守衛の姿はみえないが、フォーマルで安全な出入り口といったところか。


やや無造作に散らばった、アイテムを意味するパネルをただちに拾い集める。


すぐそばの小門をくぐると、直線的につづく、廊下のような領域に出る。そこを巡回するというか屯するというか、自分のほかにも誰かがうろついているのが見わたせる。


例の勇壮で少しエレジアックなテーマ曲。


その演奏が、ステージにかかる。


『ほんとにいーんだって! 勝手に落ちたの! それか手がすべって! 押しちゃって!』


ナイトが動き回るこのフィールドは、伝統文化を感じさせるものが何もない。自然のほかは、装飾性のない人工物ばかり、という光景だ。そして明確に区画化された構成。


基本的に無機質なのだが、妙に生活感のある風情が醸されているのは、微妙な配置があるためか。


もう気づいている。それは基本設計として学校と通底する要素があること。学校には、そう、教室があって……


床には、とりとめなく散乱したビーズ。


その悔恨が、心にかかる。


『いいんだってば! ほんとうに! ビーズなんか!』



NOTE


散文詩。手芸のビーズ。

青い模様の
ヘルメットして
準備運動
きけ合図


ゲート目指して
ひたすら駆ける
滑り込みして
息をつく


なんと朝から
苦労なことよ
それでもこれが
まだ始め


汗もしとどに
Orthema City
あはれ当世
出勤路



NOTE


諧謔詩。都都逸形式。メトロクロス(ナムコ)を主題に。特にストーリーを持たないゲームだと思っていたが、遅刻寸前で出勤してくる社員の姿から発案されたという(真偽不明の)情報がネットにあった。

尽きせぬ涙はなぜだ
砲火の已まぬはなぜだ
悲しみに暮れ
そして夕陽が暮れ
明けぬうちから雨あられ


武勇の価値とは何だ
勝利の意味とは何だ
誰の誉れや
汝(なれ)のバヨネットに
緋(あけ)の色して滴る血



NOTE


創作歌詞。When Johnny Comes Marching Homeの節で。内容的にはケムコのこのタイトル(そこでもこのメロディは使われている)が影響した気がする。

そこが始まりの土地だと
人は告げるけれど


教えられないで 分かった
淡い夢の香り





NOTE


創作歌詞。アレフガルドのフィールドBGMである「広野を行く」のメロディで。ただしリメイクで編曲される前の、FC版で使われたメロディをもとに。

測り知れないといっていいほど長くつづく洞窟、いや、その著しく人工的な直線性を考慮するならば、地下トンネルと呼ぶべきか。そこにいる(ある?)、白い車。骸骨車。この孤独な巡回者は、いつも少しよろめき、また、絶えず少しがたついているようだ。ごく静粛に、あるいはまったくの無音で。その揺れは、床面が十分に平らでないことによるのか、いや、いつよりあるのか判然とせぬトンネルであることを鑑みるに、少なからず生じた亀裂や崩落などのためであるのか。もしかすると、工事の残余として砂利などが散乱しているのかもしれないが。いずれにせよ、すべてそこにあるものには深く濃い闇が無関心に覆いかぶさっている。なかば秘密の、甚だしく延長された大地の喉。(なかば秘密というのは、それにはところどころで縦孔が開いており、両手のきく二足歩行者ならば容易に暗黒と往来できるよう据えられた梯子もあるからだ。この金属製の用具の保持に好ましいとはいえない洞窟内の湿気、それにもかかわらず腐食による損傷は受けておらず、完全に使用に耐える。)見よ、洞窟の天井から、倹約するかのようにわずかばかり水滴が垂れ、時折この亡霊めいた貨車の頭蓋をたたく。しかしこの恐ろしげな躯は、ほんの一瞬だけおとずれる重力の使者を気にしているか? それはきっと、ない。その白骨露わな全身をみるに何らの感覚器もなく、接触を感知するための生理学的な機構というものをいっさい欠いている。すなわち神経は、疾うに、その骨格を包んでいた血肉とともに失われたはずのものだろう。文字通り、完膚なきまで。洞窟内の広がりは真空めいており、どんな光の進入も望まぬかのような印象を齎している。ざっと観察する程度であれば、骸骨車の頭蓋を占めているのも同様の虚空のみに思われるところだが(それでいて、ホイールを備え、動きをもたないわけではない。いかなる霊気がそこに駐し、神秘のモーターと白骨のシャフトに、微弱ながらも生気を与えてつづけているのか?)、じつはいまにも消え入りそうな蝋燭か、電池の干上がりつつある豆電球のように、二つの眼窩にかろうじて認められる薄い明かりが浮かんでおり、その点ではかならずしも虚ろげではない。何もかも無差別に飲み込み、溶かし去るかのような洞窟の闇ではあるが、哀れにも生命を吹き込まれてしまったとみえる骸骨の車までは消化も及ばぬ。


ピットフォール!ハリーのジャングルアドベンチャーは危険でいっぱいだ。障害物によってはハリーを足止めして、ポイントを減らす。また別の障害物は、ハリーをその場で完全に動けなくしてしまう。足止めになるのは地面に空いた穴と転がってくる丸太だ。(「得点」のところを読もう。)ハリーがやられてしまう障害物は、サソリ、炎、コブラ、ワニ、沼、流砂とタール坑で、ポイントは減らないかわりに3つあるハリーの残機が1つ減ってしまう。


Activision Pitfall! Instructions

ピットフォール!がうまくなるには、キミはいくつものワザを身につけなければならない。いちばんだいじなのは「ジャンプ」だ。左右にゆれるツタにハリーを跳びうつらせるには、赤いボタンとジョイスティックをいっしょに使う必要があるぞ。ワニの頭上を跳んで沼をわたったり、丸太、穴、サソリ、炎やヘビを跳びこえたりするときにもジャンプはたいせつだ。サソリを跳びこえるときはミスの判定がきびしいから、とくに注意したいところだ。


Activision Pitfall! Instructions



NOTE


引用を含む散文詩。

a.


ああ 時来たり
ああ 血の滾り


知らずや 汝(な)が罪業(つみ)此(こ)は報いの誅伐ぞ
刃(やいば)にかけてし仕留むるにぞ如(し)くはなし


ああ 憎み果て
ああ 怨み果て


唯々(ただただ)討たんか 変わりのなき宿意こそ
何ゆえ迷うや 追い詰めたるこの場面(とき)に


b.


ああ 時来たり
ああ 血の滾り


汝(な)が眸(め)に映るはまだ往時(むかし)の小娘か
苦汁(くじゅう)で砥ぎたる我が刃(やいば)の味を知れ


ああ 憎み果て
ああ 怨み果て


嘗(かつ)ての幼子(おさなご) いま揃うて復讐鬼
この期(ご)に泪の一滴(ひとしずく)を零すとは



NOTE


創作歌詞。推敲して残った二つのバージョン。ドラゴンクエスト4の通常戦闘で使われるBGMのメロディで。文語調のため、文法を調べながらの制作で、文法ミス、よくて文法的破格の可能性が残る。


かけてし……この「し」は強意の副助詞。


以下にゲームの物語内容にかかわる詳細。


題材は第五章中盤のバルザック戦。エドガンの遺児である二人の姉妹は新たな徒党を得て怨敵バルザックに討ち入りをかける。バルザックは敗北し絶命するも、ゲーム中の台詞などからは、その最期はむしろ強大化させた己の力に耐え切れずに自滅、的な描写にも読み取れる。姉妹の心裏は、この大詰めでどのようであったのか、想像の余地が残されている。

壁面はすべてが破片でどこにも縁(ふち)がない。数字には桁をどこまでも付け足せる、そんなふうに反射光だって貯蔵できるだろう。私がその貯蔵を保証する者。争いが誘発されるのは仕方がないことだ。占拠が保証されないせいでそれは起こる。壁面がぼろぼろと崩れ落ちていくが止めることはできない。まだ無疵な箇所、そこに私は縋りつく。



NOTE


散文詩。ゲーム「キングオブキングス」(ナムコ)の展開と世界観を、正に対する反の側からとらえようとするような詩になった。そのため、この詩においてはキングオブキングスの称号も負の意味合いに転換させられてしまっているともいえる。

赦し給う


その目だよ
何もかも
変えたのは


この手だよ
何もかも
駄目にした


その目がさ
たまらなく
憎々しく


この手がさ
あまりにも
抑えにくく


俺がひとり
戻ると そう
変にさ 見る
みな 俺を見る


何にも言えずに
咄嗟に逃げた
逃げた先には


悪い夢
醒めなくて
今も
逃げつづけ
今も
脅えてる
今も


後先は
少しもさ
考えず


ただ俺は
衝動に
従った


まったくさ
何てこと
したもんだろ


我ながら
あんなにも
愚かなこと


後悔はしたよ
ああ そりゃ何度も
もとの居場所すら
なくすだなんて


どうにもできずに
そっから逃げた
逃げた先には


悪い夢
あらわれて
今も
消せないで
今も
嘆いてる
今も


こんな
目にさ こんな
ああ こんな
目にさ こんな
目に 遭うっていうことさえ
俺 わかってたら
でも 実際どうやったって
今さら 伝わるもんか


そこで
行き詰まる
だから
逃げまわる


赦し給う
あやまちを
もしも できるなら
もしも 聞けるなら
どうか



NOTE


創作歌詞。Pardon(Ridsa)のカバー。歌の雰囲気と、原語歌詞をざっと見て意味のわかった短いフレーズからイメージをふくらませて創作。そのため元の歌詞を一部なぞってもいる。


和訳してみたが、意味がよくわからなかった箇所多数。理解しないまま意訳した箇所もある。


J’te demande pardon
赦してほしいんだ


J’ai trouvé des failles
俺は欠点を見つけた
J’ai commis des fautes
俺はあやまちを犯した
J’les ai laissés faire
故意だった
On m’a fait du mal
俺は傷ついて
J’ai prêché le faux
嘘を教えた
Je suis resté vrai
俺はずっと忠実ではあった
J’ai remonté la pente
俺は自分を持ち直し
J’ai serré le poing
拳をにぎりしめた
Sans le faire savoir
どうしたらいいのか判らなかったが
Je suis allé d’l’avant
俺は前に進んだ
Le regard loin
今後に対する展望
Sans perdre espoir
希望を失うことなく


J’vous demande d’oublier
忘れてほしいのに
Mais je ne peux me confier
どうも打ち明けられない
J’aimerais le crier
叫びたいほどなのに
J’suis pris au piège par ma fierté
俺のプライドが邪魔するんだ
Sans avouer, sans parler
白状せず、話すことすらなく
J’ai cavalé, cavalé
俺は駆けずり回った
J’ai tout donné tant d’années
俺は何年もそればかりやってきた


[Refrain]
J’te demande pardon
赦してほしいんだ
Pour tout c’que j’ai pu faire
俺がやりかねなかったことを
Oui pardon, si souvent j’me renferme
ああ、すまない、俺がよく自分の殻に閉じこもってたとしたら
Oui pardon, les deux genoux à terre
ああ、両ひざついて謝るよ
Oui pardon
ああ、すまない


J’ai tendu la main
俺は手を伸ばしても
Souvent sans retour
よく掴めずじまいだった
J’ai appris à vivre
俺は生き方を学んだ
Je suis parti de rien
俺は何もないところから始めた
Ici le vent tourne
ここなら風向きが変わる
J’n’ai rien vu venir
何も起こりはしなかったな
J’ai tout laissé tomber
俺はすべてを投げてしまった
Pour un monde meilleur
その方がいいだろうと
J’te demande pardon
赦してくれ
J’n’ai pas su te garder
お前の傍にいようとは思わなかった
J’me suis perdu ailleurs
俺は他所で迷ってしまったんだ
Ici le temps est long
ここににいるのが息苦しかった


J’ai fait des choses à contrecœur
俺は自分の心に逆らうことをした
Je me croyais innocent
俺は悪くないと信じてた
Je n’ai pas entendu tes pleurs
俺にはお前の嘆きが聞こえなかった
En fait j’étais inconscient
ほんとに俺は浅はかだったよ
Sans avouer, sans parler
認めもせず、ちゃんと話しもせず、
J’ai cavalé, cavalé
俺は逃げた、逃げ回った
J’ai tout donné tant d’années
俺は長年そんなことについやした


[Refrain]


M’en veux pas, j’suis comme ça
怒らないでくれ、俺はこんな奴なんだ
T’en vas pas, j’suis là
行かないでくれ、俺がここにいるんだ
M’en veux pas, j’suis comme ça
怒らないでくれ、俺はこんな奴なんだ
Pense à moi, une fois
一度、俺のことを考えてみてくれよ
Dis-moi qui es-tu pour me juger ?
それに、お前だって人のこと言えないだろ?
J’ai fait du mal et j’t’ai blessée
俺は悪いことしたさ、お前を傷つけた
Tu savais c’que j’ai eu, c’que j’ai laissé
俺が何を持って、何を置いてったかは知ってたろ
Sache qu’on n’m’a jamais aidé
俺を助ける人はいなかったのをわかってくれ
Pardonne-moi, si je t’ai tourné le dos
俺を赦してくれ、俺はお前に背を向けてたんなら
Pardonne-moi, on m’a poussé à la faute
俺を赦してくれ、そうするように強いられてたんだ


[Refrain]



宝石はうず高く積み上がり、いままさに上限に達しようとしていた。次々と落下してくる縦三つ並びの宝石柱──それを操作するための余裕はほとんどなくなってきていた。


「あーだめだ」


隣から諦めの声が漏れるのが聞こえたが、そのとき驚くほど多段の連鎖が発生し、画面中の宝石が一挙に取り除かれた。


「すごい! キセキじゃない」


「……キセキ……?」


そこでポーズをかけた。ゲーム画面は静止した。


「これは、キセキ……?」


「?」


「いま、予想外に起きたこの連鎖が……《キセキ》……?」


宝石のことを貴石などと呼んだわけでもあるまい。


「どうかしたの?」


「この連鎖が起こることは、予想できなかった」


「ね」


「しかし、ゲームを一時停止して綿密に宝石の配置を分析していれば、それが可能だったことは直前に明らかでもあっただろう」


「そりゃあ、ね」


「連鎖の推移において生じた変動のどこにも異常はないということだ。……事象の全体を、ゲーム内で明示された因果関係だけで説明し尽くせる」


「マインドシーカーじゃないしね」


「これがキセキというものなのか、どうか……?」


「ゲームをみてる分には予測なんてできなかったよ」


「つまり起こったことは、単に通常把握できる複雑さの範囲を超えていた、ということか」


「うーんと……そう、だろうね」


「そういうものをみな、キセキと呼ぶのか?」


「それは……まあ慣用表現っていうか」


「……」


「あ、でも……」


「……?」


「もしも、ぜーんぶ意図的にこの配置を作ってきて、意図したタイミングで連鎖させてたら、『どうだキセキだろ』って言っていいと思うよ」



NOTE


コラムス(セガ)を題材とした散文詩あるいは掌編。



闇夜に浮かぶ橋
渡るに後はなし
あやしき息遣い
潜むは魔物たち


己(おの)が心の暗鬼
罠には掛かるまじ
見え透いた手の内
覚(さと)れば死角なし


鬼門は恐れなり
避けるほど近づき
逃げれば回り込み
火に入る夏の虫


無罣礙故 無有恐怖(むーけいげーこー むーうーくーふー)


迷いに棲むあやかし
人の世のまやかし
巧みにかどわかし
語るはお為ごかし


橋桁はぐらつき
その脚は か細し
奈落は口開き
その闇 巨(おお)きかり


自重こそ危うき
さりとて歩むなり
陥穽 そこここに
ゆえにぞ 唱うなり


遠離一切顛倒夢想(おんりーいっさいてんどーむーそー)



NOTE


創作歌詞。妖怪倶楽部(ジャレコ)、ステージ2と3で使われる曲(YouTube)。


曲のブリッジ(つなぎのところ)にお経のような感触を得たことが、この歌詞の基調につながった。この創作歌詞では、お経×ロックというかつてネットでその話題を知った組み合わせを思い出し、それを試みている。仏教についてはどう考えればいいのか? この歌詞も仏教をよく知ったうえで書いたわけではない。



注意:エクスバニア(ナムコ)のゲーム本編の結末まで含む内容をもとに書いています。





















エクスバニアは当時八つの城塞を擁する地。
戦士たちの伝説は各地に城塞をもつこの王国で生まれた。
魔女が再び現れたために突如として混沌と暗黒が覆った地。
魔法球(オーブ)とモーニングスターを手に取った者たちがいた──
四人の男たちが宮廷に集い、闘士に燃えて決起した。
虜囚となった姫を、かの闇の使いから取り戻そうと。


虜囚となった姫の幽閉先は遥か千里を離れた辺境の地──
エクスバニア北端に位置する城塞の人知れぬ一角で、
四人の男たちが救出に来るのを心待ちにしていた。
戦士たちは勇猛にして果敢、機を読む才では並はずれ、
魔法球(オーブ)を操る手練にかけては比肩する者なし──
魔女が制圧した諸地域を魔法の燐光が染め上げるはずだ。


魔女がすでに八つの城のすべてを手中に収めていたため、
虜囚となった姫の救出はいきおい最後の目標になった。
魔法球(オーブ)には魔法器職人たちの念願が込められており、
エクスバニアの住民も当然武侠を期待していたわけだが、
戦士たちの、ああ、いったい何がいけなかったのか、
四人はきっと力を合わせて戦うものとばかり。


四人の男に八つの城とは何という取り合わせ──
魔女すらもこんな展開になることを予見しなかった!
戦士たちは八つの城を前に野心を刺戟されたのだ。
虜囚は姫ばかりではない、四人の心もまた(権力に)囚われていた。
エクスバニア解放の英雄となり、その名声をもとに権力を掴むこと──
魔法球(オーブ)を吟味するその目には不純な意志が隠れていた。


魔法球(オーブ)が発する魔炎を敵勢ばかりか互いに仕向けるなどとは、
四人の戦士としての矜持と本来の理念はどこへ行ってしまったのか。
エクスバニアの八つの城の攻略を、あわよくば己が一人の手柄として、
魔女の手から取り戻すというよりも横取りするがごとく、
虜囚の姫すら勝者のためのトロフィーのごとく、ただ一人の栄誉に帰そうと、
戦士たちは初めから憚ることなく争奪戦を繰り広げた。


戦士たちにとり火焔竜も骸骨鬼も魔泥漿も武勲を生み出す道具に過ぎぬ──
魔法球(オーブ)から迸る炎は魔女の手下を威勢よく薙ぎ払った。
虜囚の姫が、ついに魔女の本陣に突入してきたのを見たのは、
四人ではなくして、残り三人を出し抜いてやってきた一人の男。
魔女は熾烈な内輪争いで鍛錬された男の敵ではなく容易に討ち取られた。
エクスバニア全土は回復され、戦士は大いなる勝鬨をあげた。


四人の男は再度一団となり、互いの健闘ぶりを称え合いながら凱旋した。
魔女から奪還した姫を一人の英傑が腕に抱き、三人が後に付き従う──
エクスバニアの次期王位が彼の手に渡るであろうことに内心妬みを宿しながらも。



NOTE


エクスバニア(ナムコ)のゲーム内容に創作を加えた詩。設定の多くがわからなかっため、四人の男がモーニングスターとオーブを武器に、魔女の討伐とあわせ魔女に攫われた姫を救出に向かうこと、四人が敵(名前はわからないが、火を吐く竜、剣と盾を持った骸骨、スライムが含まれた)を倒しつつ競い合った末、八つ目の城(戦いの場となる八つの城とは別にスタート地点にも城がある様子。詩文では前者を城塞として区別した)で一人が魔女を倒し、姫を連れ帰ると国王から王の地位を譲り受けたということのほかは、全般的にここでの創作となっている。また、この詩の形式は不完全ながらセスティーナに範をとっている。



注意:以下の歌詞は手塚治虫『火の鳥』を土台にしており、刊行された『火の鳥』のストーリーの結末近くの情報を含みます。






















空にはジェットがいくつも飛ぶの
それにはだーれも乗ってはないの
爆弾ばっかり載っけてあるの
あなたはどこ?


いまでも何度も夢にね 見るの
ふたりで一緒にいられた最後
あなたのオオカミみたいな貌(かお)も
支えた手も


《時は来た 進め
つかめ 我らの時代を
突撃を懼(おそ)るな
死に代えても勝利を》


あなたにいっつも追いつけないの
わたしは必死に背中を追うの
何度も待ってとあなたを呼ぶの
届かなくて


あなたは一緒に来るなと言うの
分かって最後の別れを言うの
震える私を支えて言うの
かすれた声


私から言えたのは
戻ろうよ
医者に診てもらおうよ
そんなこと


光と大きな爆音がした
空からジェットがぜーんぶ落ちた


あなたと結婚できなくなった
あなたと結婚できなくなった
あなたと結婚できなくなった
そのときもう


《先駆けに続け
いまや好機到来
統御センター陥落
首都はもう目の前》


泣きながら見つめてた
黒煙(こくえん)が焼き付いて
離れない


空にはジェットがいくつも飛ぶの
それにはだーれも乗ってはないの
爆弾ばっかり載っけてあるの
あなたはどこ?


それをね 何度も夢にね 見るの
ふたりが一緒にいられた最後
あなたのオオカミみたいな貌も
毛深い背も


空にはジェットがいくつも飛ぶの
それにはだーれも乗ってはないの
爆弾ばっかり載っけてあるの
あなたはどこ?


いまでも何度も夢にね 見るの
ふたりが一緒にいられた最後
不思議なオオカミみたいな貌も
鋭い目も


支えた手も



NOTE


創作歌詞。火の鳥シリーズのなかでも過激さの方向性から特にアニメ化に難しさがありそうな編から。


nightcore(YouTube



Conqueror
(Conqueror)


あんまりに欲しがり
自滅するのがオチ?


都合のいい嘘つき
そのくせ時に落ち込み


騙したって 見る夢が
答え合わせになるんじゃない?


わかるよ それで
あなたの生きざま
虚ろな渇き
オトコの本性は
Conqueror Conqueror Conqueror Conqueror
Conqueror Conqueror Conqueror Conqueror


傷つけるのに無関心
その時点でまずいサイン


溺れていても気づかない
毒だなとは思わない?


振り返って何が見える?
不幸を招いたことじゃない?


わかるよ それで
危うい生きざま
自覚できたら
どうにかしなさいな
ここから ここから ここから ここから
ここから ここから ここから ここから



NOTE


創作歌詞。


nightcore(YouTube