ambit afire

ファミコン創作歌詞(など)の置き場。ときどき手直し。

【(部分)和訳歌詞】Tuppence on the Rope (※追記あり)

放浪生活にゃ慣れぬ
通りをとぼとぼ 冬の風
きのうも寝床は藁の山
おかげで擦り切れ一張羅


寝場所の沙汰もカネ次第
芯から冷える霜の夜
頼みの綱は… 凭(もた)れ綱!


得てして付くのは鬼看守
救貧院での重労働
安宿ベッドは6ペンス
景気もしばらく冬とくる


かくなる上は是非も無し
場末に灯る仄明かり
2ペンスあれば凭れ宿


食事が欲しけりゃ一仕事
石割り5時間 パンが出る
シャツでも貰えりゃ儲けもの
寝床は付いても一夜きり


溜まる疲れに余地も無し
骨身に凍みる雪の夜
2ペンスあれば凭れ宿


遅れりゃどうにも引き返し
今夜もロープの世話になる
なぜだか見かけぬ鬼看守
縄ならお宿の縄がマシ


行く当てないか ご同輩
迎えるとこはまだあるさ
2ペンスあれば いつでもな

2002/05/14



NOTE


ぶら下がり宿の歌」と呼ばれている歌。その昔、胸の高さに張られたロープの前に利用者たちが並んで凭れ、一夜を過ごす宿泊施設があったという。


「縄ならお宿の…」は捕縛の意味の「お縄」とかけている。


追記(2020/05/14):


上掲の歌詞を最初に投稿した段階では歌の背景をよく知らず、あとで原詩からすると内容がだいぶおかしい箇所がわかり書き換えをした。Gary & Vera Aspeyというアーティストのレコードスリーブに付されたとみられる解説(英語)をみつけたのが参考になった。訳すと「1930年代の不況時、何千という失業者たちがやむなく路上生活者となった。当時、どの行政教区の救貧院にも一時宿泊所(『スパイク』)が設けられていたが、宿泊は一夜かぎりとされていたため、利用者は翌日には次の町に移動しなければならなくなった。ココア・パン・マーガリンの食事を得るために、数時間の労働をすることになっていた。このため、彼らはしばしば次の一時宿泊所まで移動する時間が足りず、生垣の下や納屋で眠れない場合は、約6ペンスの安宿に泊まるためにいくらかの銅貨を乞うこともあった。この金額を用意できなかった場合、彼らは2ペンス、場所によっては1ペニーでロープを使って眠ることができた。ロープは部屋の中に横向きにかけられており、これに腕を乗せ、凭れかかって眠ることができた。通例、朝にはロープがはずされてしまうので、利用者たちは地面に倒れてしまった。」(parishを行政教区、workhouseを救貧院、dosshouseを安宿と訳してよいのか自信がない。このあたりの背景知識に欠けているため、訳文全体が怪しい。)


この曲の歌詞を書いたのはPaul Graneyとこのページには記載されている。内容や曲調から、今までそうだと思っていた、19世紀以前からの歴史がある歌なのかは確認できていない。


(かなり怪しい)和訳:


A hobo's life is brave and free, I've often heard folks say,
渡り労働者の生活は不羈奔放とよく言われるが、
But I know better now I've trudged all through a winter's day.
果たしてそうかな、寒中さすらった身としては。
I've slept in barns and garden sheds and in the haystacks too,
畑や庭の納屋、それに干し草の山なんかでも寝たもんだ。
Tramped the road from coast to coast in ragged clothes and shoes.
靴も服もぼろぼろで、くにの端から端へ歩いたさ。


(Chorus:)
But when you're down and nearly out, impossible to cope,
でもカネも底をつきそうで、どうしようもなくなっても、
You can shelter from the long, hard night for tuppence on the rope,
2ペンス払えば長くて厳しい夜を乗り切れるんだぜ。
Tuppence on the rope, me boys, tuppence on the rope.
2ペンスのロープ宿だよ、なんと、ロープの宿だ。


I've been in spikes the country round, met workhouse masters many.
あっちこち救貧院の世話になり、監督役もたくさん見てきたが、
Most of them are harsh and stern, and kind ones hardly any.
ほとんどの場合つっけんどんで、人当たりがいいのはまずいない。
In dosshouse I've had many a kip, a sixpence for a bed,
安宿にもたくさん泊まったが、ベッドで寝るには6ペンス。
But in these days of poverty, a tanner's hard to beg.
しかし近頃の景気じゃあ、6ペンス貨恵んでくれる人もそういない。


(Chorus)


In Glossop spike, there's bread and scrape, but oh, their work is hard!
グロソップの街の救貧院にはパンと少しのマーガリンが出てくる、でも仕事はきつい。
It's five hours spent just breaking stones out in the workhouse yard.
救貧院の敷地で、5時間ずっと石をたたき割る。
In Rochdale I was given a shirt, in Bacup got new boots,
ロッチデールじゃあシャツを貰った。ベイカップではブーツを。
But Blackburn's beds are hardwood boards and full of hungry coots.
ブラックバーンのベッドは単なる堅い板で、腹をすかせた変人ばかりいたっけな。


(Chorus)


Oh, evil day when a man cannot get to a spike in time,
ああひどい日だ、救貧院に行こうにも時間が遅すぎる。
And in a dosshouse spends his pence to wind up on the line.
安宿に入ったはいいが、カネが減ったらまたロープ宿。
When workhouse masters disappear, it's not too much to hope
救貧院の監督らがどこかに行っちまったとして
That we shall never see again those men hung on the rope.
縄にもたれてご再会、なんてのは真っ平だぜ。


(Chorus)